聖書メッセージ(ルカ5:27~31)『わたしについて来なさい』

『わたしについて来なさい』


聖書箇所 ルカ5:27~31

5:27 この後、イエスは出て行き、収税所にすわっているレビという取税人に目を留めて、「わたしについて来なさい。」と言われた。

5:28 するとレビは、何もかも捨て、立ち上がってイエスに従った。

5:29 そこでレビは、自分の家でイエスのために大ぶるまいをしたが、取税人たちや、ほかに大ぜいの人たちが食卓に着いていた。

5:30 すると、パリサイ人やその派の律法学者たちが、イエスの弟子たちに向かって、つぶやいて言った。「なぜ、あなたがたは、取税人や罪人どもといっしょに飲み食いするのですか。」

5:31 そこで、イエスは答えて言われた。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。

5:32 わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招いて、悔い改めさせるために来たのです。」


説教要旨

レビは取税人でした。「収税所にすわっているレビ(v27)」と紹介されています。彼は、経済的に豊かで、人が大勢入ることができる大きな家も持っていました。目標をかなえたと言えるでしょう。仲間もいました。しかし、それでもなお心には埋められない隙間、空しさ、罪の呵責、これで良いのか、このままで良いのかそんな戸惑いや迷いを覚え生きていたのでしょう。「すわっている」とは、そんなレビの心を表していたでしょう。レビはどこか私たちと似ているのではないでしょうか。真の愛を求めて渇く私たちです。一生懸命に歩み、頑張って働き、しかし、それでも拭い得ない、空しさ、渇き、孤独、罪の呵責があるのではないでしょうか。人に真に心を開けず、自分の内で閉じこもってしまう私たちではないでしょうか。その空しさ、埋められない渇きの原因は、命の造り主なる神から離れていることにあります。聖書が告げる救いとは、神なき悲惨から、神との交わりが与えられることです。神と私たちの間には、罪の故に隔てがあります。その神との隔ては、お金や人など人間の側の何かによっては解決しません。しかし、神が、私たちに救いの道をご用意下さったのです。


主イエスは、レビに近づかれ、目を留め、招かれました。「わたしについて来なさい。(v27)」神と私たちを隔てている罪が赦されなければ、神との和解はありません。神は、神から離れている私たちを救うために、二千年前、ご自分の独り子イエス・キリストを私たちにお与え下さいました。そして、主イエスは、私たちを愛しておられます。蔑むのではなく、上から同情するのでもなく、私たちの苦しみをともに苦しみ、あるがままを真実に愛し、私たちの罪を背負い、本来ならば私が罪故に受けなければならない神の御裁きを身代わりに十字架で受け、死んで下さったのです。神は、私たちの罪をイエス・キリストにおいて断罪され、私たちの罪を赦して下さるのです。


レビは、主イエスの愛の招きに応じました。「何もかも捨て(v28)」とは、所有物を捨てることではありません。心の真ん中(王座)にイエス・キリストをお迎えしたということです。レビは、変えられて行きました。主イエスから愛されていることを感じ、主イエスに対する感謝の歩みに変わったのです。後にレビは、「マタイ」という名前を主イエスから与えられます。マタイは「主の賜物」という意味です。救いは神のプレゼントという感謝、生かされていることの感謝の歩みとなったのです。また友人を自分の家に招いて、救い主イエス・キリストを彼らに紹介したのです。人々にイエス・キリストを紹介し、イエス・キリストの愛を分かち合ったのです。


「なぜ、あなたがたは、取税人や罪人どもといっしょに飲み食いするのですか。(v30)」とつぶやく宗教指導者に、主イエスは仰せられました。「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招いて、悔い改めさせるために来たのです。」(v31、v32)」正しい人はいるのでしょうか。宗教指導者は、正しい人であったのしょうか。そうではありませんでした。彼らは、自分を誇り、自分は正しいとし、人を蔑み、非難し、排除して生きていました。彼らは、罪がなかったのではなく、罪が見えなかっただけです。


主イエスは、あるがままの私を愛し、招いておられます。また、神なしでもやっていると思っている私たちにも語りかけます。本当に、イエス・キリストの救いを必要としない丈夫な者なのか。ただ自分が見えていないだけではないか。イエス・キリストを心にお迎えするときに、私たちの罪、いいえあなたの罪が赦され、神との交わりが与えられ、新しい喜び、平安、力が与えられ、人の交わりが祝福されていきます。罪の赦しは、身代わりに十字架に架かり死なれ、その死に勝利されたイエス・キリストのみにあるのです。「わたしについて来なさい。(v27)」この招きに応じましょう。