聖書メッセージ『信仰、愛、希望』(Ⅱテサロニケ1:3~4)

聖書箇所 Ⅱテサロニケ1:3~4

1:3 兄弟たち。あなたがたのことについて、私たちはいつも神に感謝しなければなりません。そうするのが当然なのです。なぜならあなたがたの信仰が目に見えて成長し、あなたがたすべての間で、ひとりひとりに相互の愛が増し加わっているからです。

1:4 それゆえ私たちは、神の諸教会の間で、あなたがたがすべての迫害と患難とに耐えながらその従順と信仰とを保っていることを、誇りとしています。

 

説教要旨

今日の御言葉は、パウロがテサロニケ教会の様子を神に感謝し、また諸教会の中で誇っていると記しております。第一は「信仰が目に見えて成長し(v3)」テサロニケ教会は、神への信頼が大きく成長していたのです。神との交わりが深められていたのです。第二は「あなたがたすべての間で、ひとりひとりに相互の愛が増し加わっているからです(v3)」教会全体を結ぶ、そして、互いを結ぶ愛が一人ひとりに増し加わっていたのです。「愛(v3)」は、アガペーという言葉が使われております。相手の状態に関わらず仕え、相手を立たせていくことです。テサロニケ教会の交わりにおいて、闘いがなかったわけではありませんでした。愛の労苦がありました。(Ⅰテサロニケ1:3、5:14~15)水谷恵信牧師は、「愛するとは、感情ではなく、相手がその人らしく花を咲かせられるように手を貸すこと」と述べております。一人ひとりにおいて互いの間の愛が増し、教会が愛の中に建てられ、その愛が教会の周りのすべての人への愛へと広がっていったのです。(Ⅰテサロニケ3:12)

 

続いて、パウロは、諸教会の間で誇っていることを告げました。テサロニケ教会は、信仰故の迫害や様々な試練の中で神への従順(忍耐)を保っていたのです。「忍耐」とは、じっと我慢することではなく、神の救いを待ち望むことです。日々の歩みにおいて神の救いを、そして、救いの完成である天の御国を待ち望んでいくのです。天の御国を見上げ、大いなる希望を抱き、この地上での闘いを神を待ち望み歩んでいくのです。

 

以上、「信仰、愛(v3)」そして「希望(忍耐)(v4)」のことですが、実は、これは、パウロがⅠテサロニケ人への手紙でも記し、神に感謝していたことでした。(Ⅰテサロニケ1:3~4)(Ⅰテサロニケ5:8)また、パウロは、Ⅰコリントの手紙13:13で、順番が異なりますが、「信仰、希望、愛」と述べております。信仰、愛、希望、これが、キリスト者の歩みであり、キリスト者が願い求め続けていく歩みです。パウロは、ここでテサロニケ教会の人々を「すばらしい!」としているのでなく、神に感謝しています。すなわち、信仰、愛、希望の歩みは、神の恵みに拠ります。「父なる神と主イエス・キリストの恵みと平安(v2)」とありましたが、まさに、神は一方的に私たちを愛し、キリストの十字架により罪を赦し、神との和解を与え、御自身との交わりの中で、私たちをお育み下さいます。御言葉と御言葉を通し働かれるご聖霊により、私たちを日々新たに造り変え、成長させて下さるのです。第一の手紙と第二の手紙の間は、わずか数ヶ月でした。しかし、その間に、パウロは、テサロニケ教会の人々の信仰がおびただしく成長したと述べました。ほんの数ヶ月でそのような信仰の成長があるのでしょうか。それは、やはりテサロニケ教会が迫害と患難の中に置かれていたことと無関係ではないでしょう。苦難の中でこそ信仰が大きく成長したのです。神は、何故苦しみの中に置かれ続けるのか。そう簡単には言うことができません。苦難は、神への不信頼へと私たちを誘います。しかしまた、苦難は、神へと私たちを近づけさせます。恐れが祈りと御言葉へと向かわせ、痛みが真の自分の姿と向き合わせます。その中で、私たちの内に深くご聖霊が働き、神への信頼と神との交わりが深まっていくのです。そして、その砕かれた魂において、隣人の痛みを知り、隣人への愛へと繋がっていくのです。

 

午後、教会総会が行われます。2017年度の年間テーマは、「霊の家に築き上げられる」です。教会と私たち一人ひとりが、この年、世の闘いの中で、神との交わりと互いの交わりに深く生かされ、神を待ち望んでいく霊の家に築き上げられたく願います。信仰、愛、希望の歩みに導かれて参りたいと願います。そうして、神の御救いがこの地と各々の持ち場に現わされ、神に栄光を帰していく歩みへとともに導かれて参りましょう。