聖書箇所 ヨハネ16:4後半~15
16:4 わたしは初めからこれらのことを話すことはしませんでした。それはあなたがたとともにいたからです。
16:5 しかし今、わたしは、わたしを遣わされた方のもとに行こうとしています。けれども、あなたがたのうちだれも、『どこに行くのですか』と尋ねません。
16:6 むしろ、わたしがこれらのことを話したため、あなたがたの心は悲しみでいっぱいになっています。
16:7 しかし、わたしは真実を言います。わたしが去って行くことは、あなたがたの益になるのです。去って行かなければ、あなたがたのところに助け主はおいでになりません。でも、行けば、わたしはあなたがたのところに助け主を遣わします。
16:8 その方が来ると、罪について、義について、さばきについて、世の誤りを明らかになさいます。
16:9 罪についてというのは、彼らがわたしを信じないからです。
16:10 義についてとは、わたしが父のもとに行き、あなたがたがもはやわたしを見なくなるからです。
16:11 さばきについてとは、この世を支配する者がさばかれたからです。
16:12 あなたがたに話すことはまだたくさんありますが、今あなたがたはそれに耐えられません。
16:13 しかし、その方、すなわち真理の御霊が来ると、あなたがたをすべての真理に導いてくださいます。御霊は自分から語るのではなく、聞いたことをすべて語り、これから起こることをあなたがたに伝えてくださいます。
16:14 御霊はわたしの栄光を現されます。わたしのものを受けて、あなたがたに伝えてくださるのです。
16:15 父が持っておられるものはすべて、わたしのものです。ですからわたしは、御霊がわたしのものを受けて、あなたがたに伝えると言ったのです。
説教要旨
昨週より、聖霊について御言葉に聴いています。本日の御言葉も主イエスの告別説教の箇所です。主イエスは、ここで十字架の死、復活、昇天を告げ(v5)、また世は主イエスを憎んだように弟子たちを憎む迫害の苦しみを予告しました。(15章後半~16:4)主イエスが世からおられなくなり、残される自分たちが苦難に遭うことを聞いた弟子たちは悲しみに満ちました。(v6)しかし、主イエスは、ご自身が去って行くことは、弟子たちにとって「益になる(v7)」と、それは助け主なる聖霊が来るからだと告げました。そして、助け主なる聖霊の働きを述べられました。第一は、世に対する働きです。「罪について…」(v9)」神は世を愛し罪から救うために御子イエス・キリストをお遣わし下さいました。聖霊は、その御子イエス・キリストを拒み、信じないことが罪であることを世に明らかにします。「義について…(v10)」聖霊は、イエス・キリストが十字架で死なれ、復活され、天に昇られるのは、神の義(救い)を成し遂げて下さったことであることを世に明らかにします。「さばきについて…(v11)」聖霊は、イエス・キリストの十字架の死がこの世の支配者、サタン、罪と死に打ち勝った神の御業であることを世に明らかにします。
第二は、弟子たちに対する働きです。彼らを「すべての真理(v13)」へ導き入れます。「すべての真理(v13)」とは何を意味するのでしょうか。聖霊は、自分から語るのではなく、父なる神とイエス・キリストから聞いたことをすべて語り(v13)、「これから起こること(v13)」、イエスの十字架の死、復活、昇天の意義を弟子たちに教えるのです。聖霊の大きな働きは、「御霊はわたしの栄光を現されます(v14)」とイエス・キリストを現わします。そして三位一体なる神との交わりに導くのです。(v15)さらに、聖霊は弟子たちを救いの真理に導き入れるだけではなく、キリストとの交わりの深みへと導かれます。彼らは、十字架の死、復活、昇天によりイエスを失うことは悲しみでしかありませんでした。自らが世で苦難に遭うことは悲しみと怖れでしかありませんでした。でも、聖霊は、十字架の死の悲しみを喜びとしました。(v20~v22)この世の悲しみを喜びとしました。どんなに御言葉が語られても受けつけることができない時があります。(v6、v12)でも、聖霊は、そういう私たちにこの世での試練、悲しみとしか思えないこと、迫害の中でいよいよイエス・キリストへと結び合せ、三位一体なる神との交わりの深みへと導きます。深い悲しみを深い喜びへと導かれます。この神の喜びは、いかなるものも奪うことはできないのです。
では、聖霊はどのように世に、キリスト者に働くのでしょうか。聖霊は、弟子たちをイエス・キリストの真理へと導き入れ、弟子たちを導き守られながら、聖書を記させました。聖霊は、神の御言葉である聖書を通し、イエス・キリストを示し、私たち人間を救いへと、またキリスト者の信仰の眼を開かせ、三位一体なる神との交わりの深みへと導き、神の喜びと平安の中を歩ませて下さるのです。(ヨハネ20:31、Ⅰヨハネ1:3~4参照)
今、信仰をもって歩みたいのであるが、神が、罪が、神の愛が分からないという方がおられるかもしれません。聖書を開く時に「あなたのことを知りたいのです。分かるようにしてください」と真理の御霊に導きを求めましょう。また、今、深い悲しみや怖れがあるかもしれません。起きた出来事や取り戻せない失敗で深く傷みを覚えているかもしれません。聖霊は、聖書を通し、キリストへと結び合せ、世の患難、信仰故の闘いの悲しみをどんなものも奪うことができない深い喜びとし、勝利の中を一歩一歩歩ませて下さいます。真理の御霊は、御言葉とともに働かれます。日毎に御言葉に聴き、主日毎に御言葉に聴き、真理の御霊によりイエス・キリストへと導かれ、三位一体なる神との交わりの中で慰められ、強められ、この世において神に信頼し神に栄光を帰す歩みへと導かれて参りましょう。