聖書メッセージ『神は真実な方』(民数記14:20~25)

聖書箇所 民数記14:20~25

14:20 【主】は言われた。「あなたのことばどおりに、わたしは赦す。

14:21 しかし、わたしが生きていて、【主】の栄光が全地に満ちている以上、

14:22 わたしの栄光と、わたしがエジプトとこの荒野で行ったしるしとを見ながら、十度もこのようにわたしを試み、わたしの声に聞き従わなかった者たちは、だれ一人、

14:23 わたしが彼らの父祖たちに誓った地を見ることはない。わたしを侮った者たちは、だれ一人、それを見ることはない。

14:24 ただし、わたしのしもべカレブは、ほかの者とは違った霊を持ち、わたしに従い通したので、わたしは、彼が行って来た地に彼を導き入れる。彼の子孫はその地を所有するようになる。

14:25 平地にはアマレク人とカナン人が住んでいるので、あなたがたは、明日、向きを変えてここを旅立ち、葦の海の道を通って荒野へ行け。」

 

説教要旨

イスラエルの民は、約束の地カナンに入っていこうと神への信頼の言葉を語ったヨシュアとカレブを石で打ち殺そうとしました。その時、彼らを守るようにして、主の栄光がイスラエルの民に現れました。(v10)主は怒られ、モーセに民との契約を破棄し、彼らに代えてモーセとモーセから生まれ出る民と新たに契約を結ぶと仰せられました。(v11)モーセは民への神の裁きの言葉を受け、必至に執り成しました。(v13~v19)イスラエルの功を挙げて赦しを求めたのではなく、神の真実さ、神の憐れみにかけて赦してほしいと祈ったのです。主は、モーセの執り成しを受け、「わたしは赦す(v20)」と契約を破棄しないと仰せられました。しかし、ヨシュアとカレブ以外はカナンには入らせないと仰せられました。カナンとは逆方向の荒野へ南下せよと命じられました。(v25)

 

神は不従順のイスラエルを裁かれ、イスラエルは自らの背信の罪を負わなければなりませんでした。パウロは神の救いに与ったイスラエルがカナンに入ることができなかったこの出来事を記しつつコリント教会を戒めました。(Ⅰコリント10:1~12)コリント教会は自分たちの救いが完成したとし、緩みきった誤った安心感の中にいました。恵みを受けつつ偶像礼拝や不品行に陥っていました。神は裁かない神ではあられません。神を侮ってはならないのです。神の救いの恵みを罪の放縦に変えてはならないのです。神の恵みにより救われたのは、神を真に畏れ、神の御心に聴き従う歩みをなしていくためです。神は警告をなされています。

 

しかし、「荒野へ行け(v25)」と命じられたのは、神の裁きだけではありません。背信の民の子たちは、四十年の荒野の中で神に信頼し従うことを訓練されカナンに入る備えがなされたのです。背信の民たちは、四十年荒野を彷徨い、自分の咎の故に神の裁きを負いながら、「わたしへの反抗が何であるかを思い知ることになる(v34)」と、約束の地カナンには入れないが、神への悔い改めに導かれる「時」が与えられたのです。(v31~v34)そして、神は、四十年間マナを与え続けられています。(申命記8章)イスラエルの一つの世代だけを見るならば、確かに彼らは自分たちの罪の故に約束の地カナンに入ることができませんでした。しかし、次の世代まで見た時に、神は確かにご自身の契約を守られ、彼らを導き続けられたのです。パウロは、コリント教会の不従順を責め終わってはいません。「…神は真実な方です。あなたがたを耐えられない試練にあわせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えていてくださいます。(Ⅰコリント10:13)」神は召し、御子イエス・キリストの十字架により贖った者を最後まで固く保って下さる真実な方です。「脱出の道」とは、「小道、間道、抜け道」を表す言葉です。大きな広々とした道ではなく、神が試練とともに、その試練の中で小道を備えて下さるのです。そして、この「脱出の道」との言葉は「人生の結末(へブル13:7)」とも訳されています。途上は分からないが、神は救いに与らせ神に従う者を試練とともに逃れの道を備えて下さったと最後には現されるのです。

 

神への不信頼の故の失敗があります。その蒔いた種を刈り取らなければならないこともあります。しかし、神は真実なお方です。決して見捨てないお方です。神に信頼し、忍耐し、神の訓練を受けて歩む者に試練とともに「小道、間道、抜け道」をご用意下さいます。その信仰(信頼)を荒野の中で「わたしのしもべカレブは、ほかの者とは違った霊を持ち、わたしに従い通した(v24)」と聖霊に求め与えられていきたいと願います。そして、神が下さる逃れの小道を一歩一歩と歩み、振り返った時に神の真実さを崇める、そして、私たちがこの地上での生涯を終えた時に神の真実さが崇められる歩みへと導かれていきましょう。