聖書箇所
2:8 さて、その地方で、羊飼いたちが野宿をしながら、羊の群れの夜番をしていた。
2:9 すると、主の使いが彼らのところに来て、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。
2:10 御使いは彼らに言った。「恐れることはありません。見なさい。私は、この民全体に与えられる、大きな喜びを告げ知らせます。
2:11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。
2:12 あなたがたは、布にくるまって飼葉桶に寝ているみどりごを見つけます。それが、あなたがたのためのしるしです。」
2:13 すると突然、その御使いと一緒におびただしい数の天の軍勢が現れて、神を賛美した。
2:14 「いと高き所で、栄光が神にあるように。地の上で、平和がみこころにかなう人々にあるように。」
2:15 御使いたちが彼らから離れて天に帰ったとき、羊飼いたちは話し合った。「さあ、ベツレヘムまで行って、主が私たちに知らせてくださったこの出来事を見届けて来よう。」
2:16 そして急いで行って、マリアとヨセフと、飼葉桶に寝ているみどりごを捜し当てた。
2:17 それを目にして羊飼いたちは、この幼子について自分たちに告げられたことを知らせた。
2:18 聞いた人たちはみな、羊飼いたちが話したことに驚いた。
2:19 しかしマリアは、これらのことをすべて心に納めて、思いを巡らしていた。
2:20 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて御使いの話のとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。
説教要旨（イヴ礼拝）
当時の支配国ローマ皇帝より徴税と徴兵のための住民登録の勅令が出、人々は戸籍地に向かい、ヨセフとマリアもガリラヤのナザレからユダヤのベツレヘムに向かいました。そのベツレヘムでマリアは時が満ち、男子を生みました。「その子を布にくるんで飼葉桶に寝かせた（v7）」とあり、それは当時においても通常あり得ないことで、「宿屋には彼らのいる場所がなかったから（v7）」と理由が説明されています。イエス・キリストは低く、貧しく、歓迎されない中でお生まれになられました。その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、羊の群れの夜番をしていました。当時羊飼いは社会の最底辺の者たちでした。羊の世話をする関係で、ユダヤの諸規則を守ることができず、人々から見下され、他にお金を稼ぐ方法を得ることができた者は羊飼いにはなりませんでした。住民登録で社会がざわつく中、誰にも顧みられず、野宿をしながら羊の番をしていたのです。
しかし、その彼らに、神は使いを送られ、救い主誕生の知らせを届けられたのです。（v9～v12）「あなたがたのために救い主が（v11）」と告げ、「この方こそ主キリストです」と神であられ、約束されてきた救い主であると告げ、その救い主は「あなたがたは、布にくるまって飼葉桶に寝ているみどり子（v12）」と告げました。「しるし（v12）」とは「飼葉桶に寝ておられる」ことが、羊飼いたちが救い主を見つけるための目印ということではなく、救い主としてのしるし、救い主の性格であるということです。即ち、救い主は王宮で生まれ、温かなベッドで寝かされ、人々にもてはやされ生まれた救い主ではなく、家畜小屋で生まれ、飼い葉桶に寝かされ、貧しく、低く、人々から拒絶された救い主であるのです。「あなたがたのためのしるし」人間の非情さの中で傷つき、自分の惨めさやふがいなさを覚え、寂しさを感じ生きている者を救うためでした。それがイエス・キリストです。飼葉桶がイエス・キリストの最初の居場所であるならば、イエス・キリストの最後の居場所は十字架でした。イエス・キリストの最初に最も近くにいた者が羊飼いならば、最後に最も近くにいた者はイエス・キリストと同じように十字架にかけられた囚人でした。彼は初めはイエス・キリストに向かい「自分を救い、我々を救え」と罵っていましたが、十字架上でのイエス・キリストを見ている中で心に変化が起こり、「イエス様。あなたが御国に入れられるときには、私を思い出してください。」と願い、イエス・キリストは「まことに、あなたに言います。あなたは今日、あなたはわたしとともにパラダイスにいます。」と宣言されました。今、人に深く傷ついている方があるかもしれません。自分のふがいなさを覚えている方があるかもしれません。自分の過去を悔いている方があるかもしれません。重い病で苦しみ絶望の中でご視聴下さっている方があるかもしれません。イエス・キリストは、飼い葉桶に寝かされた救い主、誰にも顧みられない者の救い主、十字架に架けられた救い主、死を前にする者の救い主です。イエス・キリストは、私たちを愛し、神に立ち返らせるために来られ、十字架に架かり死なれ、死に打ち勝ち復活されともにおられるあなたの私の救い主です。
羊飼いは、救い主イエス・キリストと出会い、神を崇め賛美しながら帰って行きました。主イエスとともに十字架にかけられた囚人は、最後の最後に救い主イエス・キリストと出会い、主の平安の中で天に召されていったでしょう。羊飼いはお金を得たのでも境遇が変わったのでもなく、囚人は死を免れることができたのではありません。しかし、彼らは神の愛を知り神を礼拝する者、天の御国への確かな希望を抱く者となったのです。彼らの心の奥深くが、彼らそのものが変えられたのです。
飼葉桶の救い主がおられます。光は闇の中に輝いておられます。私たちを愛し、この地に来て下さったイエス・キリストを私の救い主としてお迎えし、神とともに歩む新しい歩みへと導かれていきましょう。