聖書メッセージ『主の愛』(イザヤ43:3後半~4)

聖書箇所 イザヤ43:3後半~4

43:3bわたしはエジプトをあなたの身代金とし、クシュとセバをあなたの代わりとする。

43:4 わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。だから、わたしは人をあなたの代わりにし、国民をあなたのいのちの代わりにする。

 

説教要旨

「贖われた喜びに生きる教会」との標語を掲げ、この年を歩んでいます。本日はv3後半~v4の言葉に聴きます。ここで「代わり」という言葉が繰り返されています。「贖う」とは、親族の誰かが死んだ時、その人に神から割り当てられた土地や家族が他の人の手に渡ってしまった場合、親族の中で最も身内の者が代価を払い買い戻すことです。贖いのためには、代価が払わなければなりませんでした。神はバビロニア捕囚となったイスラエルを贖うために、大国であるエジプト、クシュ、セバを身代わりとすると告げられました。(v3)神は、イスラエルの民を贖うために、代わりにこうした国々をペルシャに差し出されたのです。この代価は、イエス・キリストの十字架の死を示しています。神は、御子イエス・キリストを代価とし、私たちを罪の中から贖い出し、神のものとして下さいました。聖書は、贖罪なくして和解なしと告げます。神は「イスラエルの聖なる者(v3)」、他に並び立つ者がないほど正しく道徳的に完全なお方であられ、罪を受け入れることができません。贖いの代価が払われなければなりません。しかし、私たち自身は代価を払うことができません。罪の奴隷となっているためです。しかし、イエス・キリストが私たちの贖いの代価となって十字架で死んで下さり、私たちは罪赦され、神に受け入れられたのです。

 

何故、神は、他国を代わりとしイスラエルを贖われたのでしょうか。「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。…(v4)」神の目には、イスラエルの民は高価で尊く、神は愛しておられるからでした。イスラエルの民の数が大きかったからではありません。また、イスラエルが神に向きを変えたからではありません。イスラエルの側に理由はありませんでした。神の無条件の愛です。神は一方的にイスラエルの民を愛し、代価を払い、贖われたのです。(イザヤ書54:6~8)神の愛は、「だからの愛」ではなく、「だけどの愛」「にも関わらずの愛」です。神は、私たちを一方的に愛し、御子イエス・キリストを与えて下さったのです。

 

そして、神の愛は、贖われた過去だけのものではありません。今、神は、私たちを愛しておられます。「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。(v4)」と今神は贖われた私たちに語られています。神は、存在そのものを愛し喜んで下さっておられます。何か良い奉仕をしたから、何かができるからではありません。贖われたとは、神の子どもとされたということです。神は、神の子どもとされた私たちの存在そのものを愛しておられます。そして、神の愛は、「ありのまま」で留まることなく、成長へと導く愛です。苦難を通して私たちはイエス・キリストに似る者へと性質や行ないが造り変えられていきます。何が成長の保証なのでしょうか。聖霊によって神の愛が私たちに注がれていること、神が私たちを愛して下さっていることです。(ローマ5:1~5)即ち、神の愛は贖われた私たち存在そのものを愛する愛であり、私たちを成長へと導く愛です。

 

「私は神の子です。神は私の父です。…それらのことをあなた自身で繰り返し、繰り返し、言ってごらんなさい。朝起きてまず第一に言い、夜寝る前に最後のこととして言い、バスを待っている時に言い、頭が暇な時にはいつでも言うのです。(J・I・パッカー『神について』)」私たちは、人と比較し落ち込む時に、罪の弱さを覚え成長していない自分に否定的な思いに満つる時に、朝目覚め思い煩いに満つる時に、夜重荷を抱え床につこうとする時に、神の「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。(v4)」との御声を繰り返し聴き、自分の口で告白するのです。神が私たちの存在を愛し喜んで下さっておられること、神は私たちを愛し苦難をも用いて造り変えて下さることを覚え、この週、一時一時愛なる神の前を歩ませていただきましょう。贖われた喜びに生きて参りましょう。