聖書メッセージ『憐れみの愛』(創世記3:14~20)

聖書箇所 創世記3:14~20

3:14 神である【主】は蛇に言われた。「おまえは、このようなことをしたので、どんな家畜よりも、どんな野の生き物よりものろわれる。おまえは腹這いで動き回り、一生、ちりを食べることになる。

3:15 わたしは敵意を、おまえと女の間に、おまえの子孫と女の子孫の間に置く。彼はおまえの頭を打ち、おまえは彼のかかとを打つ。」

3:16 女にはこう言われた。「わたしは、あなたの苦しみとうめきを大いに増す。あなたは苦しんで子を産む。また、あなたは夫を恋い慕うが、彼はあなたを支配することになる。」

3:17 また、人に言われた。「あなたが妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので、大地は、あなたのゆえにのろわれる。あなたは一生の間、苦しんでそこから食を得ることになる。

3:18 大地は、あなたに対して茨とあざみを生えさせ、あなたは野の草を食べる。

3:19 あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついにはその大地に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたは土のちりだから、土のちりに帰るのだ。」

3:20 人は妻の名をエバと呼んだ。彼女が、生きるものすべての母だからであった。

 

説教要旨

神は、蛇(サタン)、そしてアダムとエバに神の裁きを語られました。まず蛇に対してです。(v14~v15)神はアダムとエバには「食べたのか(v11)」「何ということをしたのか(v13)」と尋ね悔い改めの機会を与えられましたが、蛇には即裁きの言葉を語られました。「腹ばいで動き回る」「一生、ちりを食べることになる」と蛇にひどい辱しめを味わわせると告げました。また神は「敵意(v15)」を蛇と女の間に、蛇の子孫と女の子孫の間に置くと仰せられました。女の子孫(神の民)は蛇の致命傷となる頭を打ち、蛇は女の子孫のかかとを打つと告げました。神の民はサタンの攻撃に傷を負いながらも勝利すると約束されたのです。そして神の民を表す「彼」とは女の子孫として生まれたイエス・キリストを表すと考えられています。イエス・キリストは二千年前この地に来られ、十字架に架かり死なれ、そして復活されました。イエス・キリストの十字架の死と復活は、私たちに罪の赦しを与えてくださいました。しかし、それだけではありません。イエス・キリストは十字架の死と復活によって罪と死そしてサタンに勝利されたのです。イエス・キリストは十字架の死と復活によってサタンの「頭(v15)」を打ち、サタンに致命傷を負わせたのです。ですからイエス・キリストを信じイエス・キリストに結ばれた私たちもイエス・キリストのサタンに対する勝利に与って罪と死とサタンの支配の下からイエス・キリストの支配の下に移されイエス・キリストのものとされたのです。v15は「原福音」、罪を犯した人間への神の最初の救いの約束であるのです。

 

続いて女と男への神の裁きの言葉が語られています。産みの苦しみ、夫の支配、糧を得る苦しみ、ちりに帰る死が語られています。人は罪により苦しみ、悲しみ、虚しさの下に置かれました。罪の結果の大きさを覚えます。

 

しかし、神の裁きの言葉の直後に続いています。「人は妻の名をエバと呼んだ。彼女が、生きるものすべての母だからであった。(v20)」「エバ」とは「命」を表します。神が「エバ」と名付けたのではなく、アダムが名付けたのです。不思議です。ちりに帰ると「死」が語られた直後です。でも、アダムは妻を「命」と呼んだのです。何故でしょうか。それはv15で女の子孫が蛇の子孫と対立し、やがて蛇の頭を砕くと仰せられためです。アダムは神の救いの業がすでに始まっていることを信仰を通して受け取ったのです。信仰によってアダムは死の中にいのちを見いだしました。神の裁きの中に神の憐れみを見いだしました。イエス・キリストは十字架に架かられる直前に仰せられました。「…世にあっては苦難があります。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝ちました。(ヨハネ16:33)」それを受け使徒ヨハネは後に手紙の中で記しています。「世に勝つ者とはだれでしょう。イエスを神の御子と信じる者ではありませんか。(Ⅰヨハネ5:5)」私たちはイエス・キリストを信じ、イエス・キリストのものとされたので世との戦いを覚えるのです。そしてイエス・キリストが十字架と復活によって世に勝利してくださったので、世の戦いにおいて聖霊によって勝利の道を歩んでいくことができるのです。失敗や敗北が全くないということではありません。「かかとを打つ(v15)」のです。失敗や敗北があるのです。でも、決して致命傷を負うことはありません。イエス・キリストが十字架で死なれ復活されすでにサタンの頭を踏み砕いてくださったので、私たちがどんなに弱さがあっても失敗しても完全に負けてしまうことなく、絶えず立ち上がり、聖霊の助けを得て勝利の内を歩ませていただけるのです。勝利者イエス・キリストが私たちとともにいてくださるのです。 

 

4月、世の戦いの中でイエス・キリストの十字架と復活の勝利を見上げ、私たちの内に住みたもう聖霊に信頼し助けをいただき、勝利の祝福の中を一歩一歩と前進していきましょう。