聖書箇所 ヨハネ20：11～18
20:11 一方、マリアは墓の外にたたずんで泣いていた。そして、泣きながら、からだをかがめて墓の中をのぞき込んだ。
20:12 すると、白い衣を着た二人の御使いが、イエスのからだが置かれていた場所に、一人は頭のところに、一人は足のところに座っているのが見えた。
20:13 彼らはマリアに言った。「女の方、なぜ泣いているのですか。」彼女は言った。「だれかが私の主を取って行きました。どこに主を置いたのか、私には分かりません。」
20:14 彼女はこう言ってから、うしろを振り向いた。そして、イエスが立っておられるのを見たが、それがイエスであることが分からなかった。
20:15 イエスは彼女に言われた。「なぜ泣いているのですか。だれを捜しているのですか。」彼女は、彼が園の管理人だと思って言った。「あなたがあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか教えてください。私が引き取ります。」
20:16 イエスは彼女に言われた。「マリア。」彼女は振り向いて、ヘブル語で「ラボニ」、すなわち「先生」とイエスに言った。
20:17 イエスは彼女に言われた。「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないのです。わたしの兄弟たちのところに行って、『わたしは、わたしの父であり、あなたがたの父である方、わたしの神であり、あなたがたの神である方のもとに上る』と伝えなさい。」
20:18 マグダラのマリアは行って、弟子たちに「私は主を見ました」と言い、主が自分にこれらのことを話されたと伝えた。
説教要旨
イースターおめでとうございます！マグダラのマリアは主イエスによって大病を癒され（ルカ8：2）、それ以来イエスを慕いついてきた女性でした。エルサレムにおいて十字架で死なれ、埋葬されるイエスを見ることになりました。どれほど深い悲しみと絶望の中に置かれたことでしょう。安息日が終わり、日曜の朝早く、イエスの亡骸に香油を塗りに墓に来ました。（v1）墓から石が取り除けられているのを見、マリアは墓荒らしにあったと思い、ペテロのところに走って行き伝えました。ペテロとヨハネは墓に行き、空の墓を見、墓から自分たちのところへ帰っていきました。（v10）マリアは墓の外で独り泣き続けていました。（v11）私たちの歩みにも深い悲しみの中に置かれ、悲しみを抱えつつ生きていることがあります。そして独りで泣いているのです。本当の悲しみや苦しみは、一番の深いところで誰にも理解してもらえないものであると言えるのではないでしょうか。
マリアは泣きながら、体をかがめて墓の中をのぞき込むと、二人の御使いが空の墓を示すようにいて、マリアに語りました。「女の方、なぜ泣いているのですか。（v13）」マリアは相当意気消沈していたためか、御使いに驚くこともなく答えました。「だれかが私の主を取って行きました。どこに主を置いたのか、私には分かりません。（v13）」彼女は墓の外に人がいるのを感じたのでしょうか、後ろを振り向きました。（v14）そこには復活されたイエス・キリストが立っておられたのです。しかし、主イエスであることが分かりませんでした。（v14）そんな彼女に主イエスは御使いと全く同じ言葉を語られました。「なぜ泣いているのですか。（v15）」それだけではなく続けて尋ねられました。「だれを捜しているのですか。（v15）」これは「わたしはよみがえったのだ、わたしはある、わたしがいないと泣かなくて良いのだ」とマリアにお語りになられたのです。（18：4～8、11：25～26参照）それでも絶望の闇の中にいた彼女を、主イエスはその暗闇から引き出すように名を呼ばれました。「マリア（v16）」彼女はイエスだと分かったのです。主イエスは独り涙を流している私たち、主への信頼を失いかけているような私たちの名を個人的に呼んでくださっておられるのです。
「ラボニ（v16）」とは「私の先生」と親愛を込めた言い方です。恐らくマリアはこれまで主イエスのことをそのように呼んでいたのでしょう。それは確かに親愛を込めた呼び方でした。でも、復活された主イエス・キリストに出会っているのに、これまでの関係の延長線上のように「私の先生」とだけ呼んでいることは、今彼女の目の前で起こっている出来事に対する理解が十分ではなかったのです。そのことの故に続くv17があるのです。主イエスは彼女に言われました。「わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないのです。（v17）」主イエスはマリアのご自身についての理解をここで大きく変えようとしたのです。マリアにとってイエスは自分の病を治してくださった私の先生でした。だから死で終わりであったのです。しかし、イエス・キリストは死に打ち勝ち復活されました。ただ病を癒し、人間的な苦しみを一時的に開放するお方ではないのです。イエス・キリストは十字架に架かり死なれ、復活され、天に昇られ、救いの御業を成し遂げ、私たち人間に罪の赦しと永遠のいのちを与えてくださるお方です。父なる神と御子なるイエス・キリストとの永遠の愛の交わり、永遠のいのちを与えてくださるのです。（v17）イエス・キリストは私たちといつでもいつまでもともにいてくださるのです。いかなる苦しみも死さえも永遠のいのち、イエス・キリストにある神の愛から私たちを引き離すことはできないのです。（ローマ8：35～39）
イエス・キリストは死の中から復活されました。このお方に「私の主、私の神よ（20：28）」と信頼し、天の御国の確かな希望、永遠のいのち、何ものも引き離せないキリストにある神の愛に支えられ生きていきましょう。